初夏、霧中の外秩父七峰縦走単独行/2021年5月22日 

山深き、外秩父。

霧に包まれし45kmの旅。

Contents

【コース概略】

小川町駅ー官ノ倉山(344m)ー笠山(837m)ー堂平山(876m)ー剣ヶ峰(876m)ー大霧山(766m)ー皇鈴山(679m)ー登谷山(668m)ー寄居駅

外秩父七峰縦走ハイキング大会では、上記の7つの山を繋いでひたすら歩き続けることになるわけですが、この7つに含まれない山も道中では通過します。途中で何度も気持ちが折れそうになりました。。

尚、今回はこちらの地図を参考に計画を立てました。ネット上にもたくさん地図は上がっていますが、今回のように天気が悪い場合はやはり手元に地図があった方が安心できますので、ぜひ紙の地図も持参の上、挑戦することをお勧めいたします。

山と高原地図 奥多摩・奥秩父総図 (山と高原地図 23)

【山行記録】

私は地図を眺めて、こことここをつないで歩いてみたら楽しいのではないかと想像をして、実際に歩いてみることが好きです。そして、身体に負荷をかける、いわゆるエンデュランス系の登山も好きです。なので、長距離、長時間をただ無心になって黙々とひたすら歩くような山行がとても好みで、無性にそういう山登りをしたくなる時があります。

今回は首都圏を代表するエンデュランス系ルートの一つである、「外秩父七峰ハイキングコース」を一人で歩いてきました。このコースは「外秩父七峰縦走ハイキング大会」という大会のコースとなっています。この大会は30回を超える実施回数を誇る伝統ある大会です。七峰は「しちほう」と読むのが正しいようです。

ハイキング大会ってことは大したコースではないのだろうと舐めていたのですが、まさかあんなことになろうとは・・・。以前より気になっていたのですが、ようやくスケジュールを確保することができ、挑戦の機会が巡ってきました。

朝7時に東武東上線の小川町駅に到着。この時点でもう起きてからは3時間以上経過しており、ただただ眠い。駅前にはロータリーがあり、コンビニが一件あります。コンビニで食料を調達し、いざスタートです。とはいえ、最初は車道歩きが続きます。地図片手に歩いていましたが、所々に標識が出ているのでかなり安心できます。人懐っこい猫と遭遇し、ついつい足を止めてしまいますが、この先が長いことを思い出し、気持ちを奮い立たせて先に進みます。

古墳があったり、立派な神社があったり、とかなかなか見どころのある飽きない道のりです。立派な家も多く、風情がある街並みでした。

徐々に山感が増してきます。裏山的なところを抜け、鬱蒼をした森の中に入っていき、徐々に登り始めていきます。まず一つ目の山に登るのですが、これは七峰には含まれていません。。。徐々に不安が募りはじめます。

8:55にようやく一つ目のピークである官ノ倉山(344.7m)に到着。徐々に雲が増えていく。

ここから次のピークである笠山までは車道歩きが続くのですが、穏やかな暮らしと営みを感じる原風景に癒やされます。ただ、コンクリートを歩くのは結構足に負担が溜まります。これは想定外でした。

09:35和紙の里に到着。小学校の頃に遠足で来たことがあるような気がする。ゆっくり出店とかみたいところですが、先を急ぎます。再び山の中に入っていきます。ここからはしばらく霧の世界をお楽しみください。

11:30に二つ目のピークである笠山(837m)に到着。想定より時間がかかってしまった。黙々と歩き続けます。霧のせいもあり、全く景色が変わらない。それはそれで無心になれていいのですが、如何せん同じところを歩いているかのような錯覚に陥ります。と思ったら、山の上とは思えない平たい場所がいきなり現れます。これはきっと堂平山に違いない。

12:15、予想通り三つ目のピークである堂平山(875.8m)に到着です。この辺りから山頂に行かなくてももういいやという気持ちになり始めており、正確にはピークは踏んでいないと思います。許してください。にしても霧!こんなに霧が出ることは結構珍しいことらしい。トレイルランナーやバイク乗り、自転車乗りの方など様々な方が休憩していました。おばちゃんが小さなお店を出していたので、いちごミルクと甘酒をいただきます。おにぎりを2つほど食べ、15分ほど休憩し、終われるようにして出発します。途中剣ヶ峰は知らないうちに通り過ぎていたようで写真がありません。

12:45に白石峠を通過。なんかすごく秘境感がありました。そして、地獄のような階段を越えます。この辺りからほんとに誰もおらず、完全に一人旅です。

星空を見上げているかのような錯覚に陥ります

14:25に5つ目のピークである大霧山(766.6m)に到着。おいおい、名前通りだな、おい。と一人山に向かって話しかけます。もう完全に憔悴しきってます。距離としてはここでようやく25kmくらい。え、あと20kmもあるんですか、とつぶやくも誰も答えてはくれません。さて、この先は再び林道歩きが続きます。つまりコンクリート攻めです。こんなにも土は優しく、こんなにもコンクリートは人間に負担をかけるのかと、身体を持って実感します。憎し、コンクリート。私はこうしてナチュラリストを志すようになりました。嘘です。でも、自然って偉大で、人工物は人間にとって「不自然」なんだなってことは本気で思いました。この辺りから雨が降り始めたような気がする。それすら覚えていないくらい必死です。

さて、そうこうしているうちに、人の匂いがしてきます。あと牛の匂いも。これはきと牧場が近づいてき他に違いない!牛注意の看板も見えてきました。期待が高まります。そして、15時に彩の国ふれあい牧場に到着。とにかく甘いものが食べたくなり、アイスクリームを購入。3時のおやつです。絶対美味しいに違いないし、絶対に美味しかったはずなのですが、疲れすぎてあんまり覚えていない。そんな悲しいことがあっていいのか。余談ですが、小さい頃からとにかく牧場のアイスクリームだけは特別との思いは変わっておらず、最高の贅沢、至福の時だと思っています。牧場×アイスクリームの組み合わせは最強。

15:20に二本木峠を通過します。かなり雨が降っており、写真を撮っていないのですが、皇鈴山と登谷山をこのあと通過しています。オオサンショウウオ研究所というオカルト感がすごい場所を通過し、この後はただひたすら車道歩き。民家もちらほら見えてきてようやくゴールなんだなとホッと一安心。あと一踏ん張りです。

途中、古城の跡地を通り、駅まであと少し。荒川を通過したあたりでコンビニに立ち寄りタンパク質を補給します。

そして、18:10、ついに寄居駅に到着。時計が12時を指していて、パラレルワールドに迷い込んだのかと不安になりましたが、どうやら同じ世界線のままのようです。足がバキバキです。距離にして約45km…長かった。まさかこんなに大変だとは。体力の衰えを感じるとともに、踏破できたことに達成感を感じ、なんともいえない充足感に包まれながら、素晴らしき外秩父を後にしました。

【登山データ】

距離:44.53km  

最高点の標高: 872m 

最低点の標高: 74m 

累積標高(上り): 2,108m 

累積標高(下り): 未計測

所要時間:10時間21分

消費カロリー:4,969kcal

【参考資料】

低山だし、かなり人も入っているようだし、地図はなくてもいいかなと思っていたのですが、結構迷いそうな場所もありましたし、やはり地図は持参したほうがいいと思いました。ネット上の情報で十分に準備しつつ、地図を持参すれば鬼に金棒だと思いますので、ぜひご用意くださいませ。

『山と高原地図 奥多摩・奥秩父総図 (山と高原地図 23)